2025年12月15日
接骨院 開業 リスク|失敗しないために開業前に必ず知っておくべき現実と対策
開業プロジェクト
接骨院を開業しようと考えたとき、多くの先生が最初に感じるのは期待と同時に強い不安です。
「本当にやっていけるのか」
「開業しても患者さんが来なかったらどうしよう」
「最近は接骨院は儲からない、厳しいと聞くけど大丈夫なのか」
これらはすべて、開業を考える人なら誰もが抱く自然な不安です。そして実際に、接骨院開業にはいくつものリスクが存在します。
ただし重要なのは、リスクがあること自体ではありません。
リスクを知らずに開業してしまうことが、失敗につながる最大の原因です。
この記事では、全国で接骨院・整骨院の開業支援を行ってきた立場から、接骨院開業における代表的なリスクと、その現実的な回避策を具体的に解説します。
これから開業を考えている方、準備中の方はぜひ最後まで読んでみてください。
接骨院開業で最も大きなリスクは患者が来ないこと
接骨院開業における最大のリスクは、非常にシンプルです。
患者さんが来ないこと。
どれだけ技術があっても、どれだけ想いを込めても、来院がなければ経営は成り立ちません。特に開業初期は、地域での認知がほぼゼロの状態からスタートします。
このリスクを高めてしまう要因として、次のようなケースがよく見られます。
立地が良ければ自然に患者が来ると思っている
広告費をかけることに強い抵抗がある
口コミ対策を後回しにしている
内覧会を行わない、または告知不足
「腕が良ければ患者は来る」という考え方は、残念ながら今の時代には通用しません。技術と集客は別物であり、特に開業初期は“知ってもらう仕組み”が不可欠です。
開業資金が足りなくなるリスク
接骨院開業では、想像以上にお金がかかります。
物件取得費
内装工事費
医療機器
広告費
開業後の運転資金
これらを合計すると、開業前後で一気に資金が減っていきます。
ここで非常に多い失敗が、初期費用だけを考えて運転資金を軽視してしまうことです。
開業後すぐに黒字化するケースは少なく、最低でも4か月分、できれば半年分の運転資金を確保しておくことが理想です。資金に余裕がないと、集客に必要な広告費を削ることになり、結果的に患者が増えず苦しくなります。
また、融資前に物件契約をしてしまうのも大きなリスクです。
融資が通らなかった場合、「ではこの契約はどうするのか」という問題が発生します。
基本的には、融資の目処が立つまでは物件契約を急がないことが重要です。
固定費が高すぎて儲からない構造になるリスク
接骨院経営では、毎月必ず発生する固定費が大きな負担になります。
中でも特に注意したいのが家賃です。
家賃が20万円を超える物件は、開業初期の経営に大きなプレッシャーを与えます。
患者数が少なくても家賃は発生します。
売上が安定するまでの期間、この固定費に耐えられるかどうかが重要です。
家賃が高いから患者が集まる、ということはありません。
むしろ固定費を抑え、その分を広告やサービス改善に回した方が、結果的に経営は安定しやすくなります。
立地選びを間違えるリスク
立地は接骨院経営において重要な要素ですが、誤解されやすいポイントでもあります。
人通りが多い
駅前で目立つ
こうした条件が必ずしも成功につながるわけではありません。
実際に重要なのは、患者さんが通いやすいかどうかです。
住宅街から離れているのに駐車場がない
駅から遠いのにアクセス手段が乏しい
こうした条件は、集客面で大きなリスクになります。
また、数字だけの地域調査に頼りすぎるのも危険です。それよりも、近隣に小学校や中学校があるか、マンションや住宅地があるかといった生活動線を見ることが重要です。
広告に頼りすぎるのもリスクになる
広告は接骨院開業において非常に有効な手段です。
広告費をかけること自体は、決して悪いことではありません。
ただし、広告だけに頼る構造はリスクになります。
広告で来院しても、
説明が分かりにくい
料金体系が不透明
通院するメリットが伝わらない
こうした状態ではリピートにつながりません。
広告は入り口であり、院内での説明、導線、通院設計まで含めて考えることが重要です。
口コミや評価を軽視するリスク
現在、接骨院を探す人の多くがGoogleマップの口コミを確認します。
口コミが少ない
評価が低い
返信がされていない
この状態は、新規患者にとって大きな不安材料になります。
開業後は意識的に口コミを集める仕組みを作る必要があります。
一つの目安として、30件以上の口コミがあると、集客が安定しやすくなります。
スタッフを入れる判断を誤るリスク
売上が伸びそうだから、忙しくなりそうだから、という理由で早期にスタッフを雇うのもリスクです。
スタッフを入れると施術数は増えますが、人件費という固定費も同時に増えます。
まずは一人治療院として安定させるのか
最初から複数人体制でいくのか
明確な戦略が必要です。
保険に依存しすぎる経営のリスク
療養費を取り巻く環境は年々厳しくなっています。
保険請求だけに依存した経営は、制度変更や指導の影響を強く受けます。そのため、将来的に自費施術をどう組み込むかは、開業時点から考えておくべき重要なポイントです。
最初から自費100%にする必要はありませんが、選択肢として用意しておくことが経営の安定につながります。
リスクを理解して開業することが成功への近道
接骨院開業には確かにリスクがあります。
しかしその多くは、「知らなかった」「考えていなかった」ことで生じます。
事前にリスクを理解し、順序立てて準備を進めれば、失敗の可能性は大きく下げることができます。
不安を感じることは悪いことではありません。
その不安を一つずつ整理し、対策を取ることが成功への第一歩です。
執筆者
株式会社リードメディカル 山崎紀之
接骨院・整骨院の開業支援を全国で行う。
集客・医療機器・融資で、トータルでサポートしています。
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