2025年12月11日
接骨院 開業 保険で不安な先生へ|保険請求は今後も通用するのか?自費はどこまで考えるべきか
開業プロジェクト
「接骨院 開業 保険」と検索している先生は、おそらく次のような不安を感じているのではないでしょうか。
保険請求はこれからも続けられるのか
療養費はこれ以上厳しくなるのではないか
保険だけで経営は成り立つのか
自費はどれくらい考えておくべきなのか
開業直前、もしくは開業を検討している段階でこのような疑問を持つのは、ごく自然なことです。むしろ、ここを曖昧にしたまま開業してしまう方が危険です。
私はこれまで全国の接骨院・整骨院の開業支援に携わり、数多くの院の立ち上げと運営を見てきました。その経験から断言できることがあります。
それは、「保険は終わるわけではないが、保険だけでの安定経営は年々難しくなっている」という現実です。
この記事では、これから接骨院を開業する先生に向けて、保険請求の実情と、これからの経営設計における現実的な考え方を整理してお伝えします。
接骨院における保険請求の仕組みを改めて整理する
接骨院で扱う保険は、いわゆる「療養費制度」です。医科のようなレセプト方式とは異なり、柔道整復師は受領委任契約を結ぶことで、患者さんの一部負担金以外を保険者へ請求できる仕組みになっています。
ここで重要なのは、保険診療は「診療行為」ではなく「療養費の支給申請」であるという点です。
この構造を理解していないまま開業すると、次のような問題が起こります。
支給対象外の症状まで保険で請求してしまう
返戻や不支給が頻発する
指導対象になりやすくなる
最悪の場合、受領委任の取り扱いを停止される
開業前の段階で、保険請求のルールを正しく理解しておくことは、経営の安全性を大きく左右します。
なぜ「療養費は厳しくなっている」と言われているのか
「最近は保険が厳しい」「療養費はもう終わりだ」といった言葉を耳にすることが増えています。
この背景には、いくつかの明確な理由があります。
保険財政の逼迫
不正請求問題の社会化
患者照会の強化
長期・頻回施術へのチェック強化
特に近年は、患者さん本人への「照会」が拡大されており、本当にその施術を受けているのか、負傷原因は正しいのか、といった確認が行われるケースが増えています。
以前のように「とりあえず保険で通る」という時代は、すでに終わっていると考えた方が現実的です。
しかし、ここで誤解してはいけないのは「保険がなくなるわけではない」という点です。
ルールに沿って、適正に請求している院は、現在でも問題なく保険を扱っています。
問題視されているのは「グレー運用」「ずさんな管理」「説明不足」です。
開業前の先生が最も誤解しやすいポイント
これから開業しようとする先生の多くが、次のような誤解をしています。
「保険があるから、集客はそこまで気にしなくてもいい」
「最初は保険で固めて、あとから自費を考えればいい」
これは非常にリスクの高い考え方です。
なぜなら、保険は単価が一定であり、ルールが変わればすぐに収益に影響が出るからです。
開業後に患者さんの流れが「保険を前提」に固定されてしまうと、後から自費へ移行するのは非常に難しくなります。
これからの接骨院経営は「保険+自費」が前提になる
結論からお伝えすると、これからの接骨院経営は「保険+自費」の設計が前提になります。
保険100%モデル
保険70%+自費30%モデル
保険50%+自費50%モデル
どれが正解ということではありませんが、開業前の段階で「自費をどう組み込むか」は必ず設計しておくべきです。
自費と聞くと、多くの先生がこう不安に思います。
「本当に患者さんはお金を払ってくれるのか」
「押し売りみたいにならないか」
しかし実際には、「必要性が伝わっている自費」は患者さんに受け入れられます。
問題なのは、「設計がないまま場当たり的に自費を出す」ことです。
保険請求を続けたいなら、開業前に必ず押さえるべき視点
これから保険を軸に開業したい先生にとって、重要なのは次の視点です。
負傷原因を適切に管理できる体制を作る
来院動機と症状の整合性を常に意識する
記録を「誰が見ても分かる形」で残す
長期施術の管理ルールを明確にする
これらはテクニックではなく、院の「文化」に近い部分になります。
開業してから直すのは非常に難しいため、最初から仕組みとして組み込んでおく必要があります。
「保険があるから安心」という時代はすでに終わっている
かつては、立地が良くて、最低限の腕があれば、ある程度は保険だけで経営が成り立つ時代がありました。
しかし現在は、
患者数の減少
競合院の増加
口コミの可視化
広告規制の強化
と環境が大きく変化しています。
今はむしろ、「どれだけ設計して開業しているか」でスタートの差が決まります。
自費割合はどのくらいを目安に考えるべきか
よく聞かれる質問が、
「開業時点で、自費はどのくらい考えておけばいいですか?」
というものです。
実務の現場感覚としては、
最低でも売上の20〜30%
理想は40〜50%
このくらいを想定して設計している院の方が、経営が安定しやすい傾向があります。
最初からすべてを自費にする必要はありませんが、「いつかやる」ではなく「最初から設計しておく」ことが重要です。
開業前にやるべき「保険×自費」の設計とは
設計と言っても、難しいものではありません。
どの症状は保険で対応するのか
どの領域を自費にするのか
説明の流れはどうするのか
料金表はどう設計するのか
これらを「事前に決めておく」だけでも、開業後の迷いは大きく減ります。
実際にあった失敗例
開業後によくある失敗は次のようなケースです。
保険だけに頼りすぎて単価が上がらない
後から自費を導入しようとして患者さんに断られる
説明が苦手で提案ができない
売上が保険改定に直撃して立て直せなくなる
これらはすべて「設計不足」が原因です。
これから開業する先生に伝えたい現実
私は決して「保険は危険だからやめておけ」と言いたいわけではありません。
正しく使えば、保険は非常に強力な仕組みです。
ただし、
制度を正しく理解する
グレーな運用をしない
自費とのバランスを考える
この3点がないままの開業は、リスクが高いということです。
まとめ
「接骨院 開業 保険」で検索している先生は、おそらく「不安だから」このページに辿り着いたはずです。
保険請求は今後も続きます。
しかし、以前と同じ感覚で経営できるとは限りません。
だからこそ、
制度を知る
設計をする
準備をする
この3つがこれまで以上に重要になります。
開業はゴールではなく、スタートです。
不安を放置するのではなく、整理した上で進むことで、開業後の未来は大きく変わります。
執筆者
株式会社リードメディカル 山崎紀之
接骨院・整骨院の開業支援を全国で行う。集客・医療機器・融資で、トータルでサポートしています。
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